特別受益には時効がない

特別受益には時効がない

特別受益には時効がない 相続では特定の相続人に対する生前贈与や遺贈を特別受益をみなして、その人の取り分を減らす持ち戻しを行います。特別受益には時効がないので何年前のことであろうが、該当すれば必ず持ち戻しをします。
たとえば結婚をするときに支度金を親にもらったときには特別受益になりますが、それから親がなくなったのが数十年後だとしても遺産を分けるときには持ち戻しを行います。その場合、数十年も経つと物価も変動して、貨幣価値が変わっていることもあります。
そういうときには、具体的に物価がどれだけ上昇したのかを計算して持ち戻しが行われます。
ただ、数十年も前のことで、親が亡くなってしまったあとだと、そのことを知っているのは支度金をもらった相続人だけということもあります。
特別受益があった事実を秘密にしていると、他の相続人にとっては不公平な遺産分配になります。そのことで揉めたとしても、証拠となる記録がなければ立証できずに話が終わってしまいます。

特別受益の持戻は創造区開始前の10年間に限定

特別受益の持戻は創造区開始前の10年間に限定 相続人が、存命中の被相続人から金銭的価値のあるもの(お金や有価証券など)を受けとることを特別受益といいます。複数の相続人の中に受けていた方がいる場合は、法定相続どおりに遺産分配すると公平性に問題が生じてしまいます。
そのため民法903条1項には、それぞれの相続人に公平に相続できるよう、生前に受け取っていた金銭的対価を計算に加えて遺留分の基礎財産に含める規定があります。
つまり被相続人が遺書に「持戻しを求めない」と署名していなければ、自動的に特別受益を持戻して遺留分の基礎財産に含めることになるのです。
生前贈与の持戻しについては、相続が開始される10年間に限定されます。これは改正民法1043条によって規定されたもので、10年以上前に取得した生前贈与であれば遺留分の基礎財産に含めないことを明確化したもので、遺書に「持戻し免除」の意思表示がなくとも良くなりました。
改正法により特別受益の期間を明確化されたことで、遺産相続がスムーズになると期待されています。